ビゴのテキストが少々おいてあります。(ロジャドロ中心です) 原作者様・制作会社様とは一切関係はありません。
好きシーンで創作30題 『12 後ろから抱き締める』 ロジャドロです。
*こちらからお借りしました → 好きシーンで創作30題
遠く街のざわめきが微かに響いてきた気がした。背を向けて傍らに横たわる白い身体を求めて、私は暗闇に腕を伸ばし、彼女に身を寄せて鐘の音を数えた。外にはきっといたるところに祝福を交わしあう人々がいる。この閉じられた世界でも、人々は年の改まるこの祝祭を、ささやかな希望を込めて祝うのだろう。
そして、これもまた祝祭のひとつの形なのかもしれない。暖められた寝室で、私は彼女の細い腰に腕をかけ、腹部に触れながら甘い香りの首筋に口づける。彼女は身じろぎせずに黙っていた。焼けつくような渇望が再び戻ってきて私の心臓を逸らせたが、敢えて目を閉じて抗った。
ひと息に満たされる心と焦れるほどに満たされぬ心と、一体どちらがより幸福に近いのだろう。どちらがより永遠に近いのだろう。誰もが知りえぬ場所へ向かう私達の、未来とはなんなのだろう。この静かな夜は、とりとめのない問いばかりが行き過ぎる。
腕に抱いた身体はただ白くぼうと闇に浮かび、どこか遠く記憶の海の果てから私のもとへ流れついたかのように不確かに思える。私は彼女の名を囁く。眠りを知らぬくせに眠った振りをして、私に答えない少女の名を。そうしてもう一度首元に口づける。
彼女の方から、私の身体へとほんの少しだけ近づくのが感じ取れた。希望はいつも切なくはかない。それでも人は希望を持たずにはいられない。私は腕に力を込めて、新たな年への希望を胸に置いた。
短いですが、ビゴでロジャドロ。絶対に書かないだろうと思っていたものを書いてみました。心境の変化。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
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