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ビゴのテキストが少々おいてあります。(ロジャドロ中心です) 原作者様・制作会社様とは一切関係はありません。
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 男は半ば椅子から立ち上がるようにして私に向かい、苛立ったようにテーブルに拳を打ちつけた。
テーブルを挟んでも、男の飲んでいた酒の臭いを嗅ぎ取れた。この居丈高で孤独な男が私の雇い主でありながら、また決して憎むことの出来ない相手であるとわかっていた。私たちはこの人生のうちの幾度かの夜を、共に歌について、また孤独について語ったこともあった。
 バルコンの下でかつて歌いさえしたと男が漏らしたのを一度だけきいた。色恋沙汰とは無縁に見えていたので、私は混ぜ返そうとしたがやめた。焦点の合わない酔いに濁った男の目には、私の軽口を封じてしまう悲しみが見えた。私は黙って自分の酒をあおり、それから男の苦しげな罪の告白を聞いたのだった。
 私の回想を破って男は口を開いた。
「わかっているんだろう、この街ではあの男に逆らうことは出来ない」
「では彼女はどうする。見殺しにするのか」
「じゃあお前はどうすることが出来る?お前にどんな手立てがあると言うんだ」
 男の声もまた深い怒りをはらんでいて、私は虚をつかれた。憤っているのは私だけではないのだ。

なんとなくビゴパラレル的短文。セレナタねたを絡めたかった。
ドロシーが出せなかったー。
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